電磁波の影響

電磁波は危険?

電磁波が人体に及ぼす影響については、医学的に安全、または危険だという結論は出ていません。しかし近年、「電磁波による身体に及ぼす影響あり」という内容の多くの論文が発表されています。

注目を集めている事例

  • 電磁波が及ぼす発がんの可能性
  • 高圧送電線と小児白血病・その他のガンの因果関係(4ミリガウス以上で発症者増加)
  • 携帯電話からの電磁波の、脳に対する影響(悪性脳腫瘍など)
  • コンピューター使用者に流産・障害児出産が多発
  • 携帯電磁波でペースメーカーや医療機器の誤動作

高圧送電線などからの低周波電磁波の影響(4ミリガウス以上の場合)により小児白血病やその他の病気が誘発されているとの共通認識になりつつありますが、高周波電磁波の人体への影響については、認識が十分ではありません。一因は、パルス変調高周波電磁波を利用している無線通信などの技術は、90年代からとまだ日が浅いことです。 しかし、90年代後半から無線通信が急速に普及したことで、人類が今までに経験をしたことがないレベルの電磁波被曝を身体が受けていることは事実です。

人体に影響があるとも無いともはっきりわかっていない状況では、予防原則のもとで電磁波に対する自己防衛をしていたほうが無難です。 水銀汚染による「水俣病」、薬害による「サリドマイド児」そして「アスベスト公害」などの例でもわかるように、影響があると分かった時点ではすでに遅すぎます。 すでに、電磁波に対して「予防原則」(生活環境・自然環境に対して被害をあたえる脅威については、科学的な証拠がなくても事前回避の措置を定めるという原則)の考えが、ヨーロッパを中心に広がってきています。

電磁波がもたらす可能性のある健康障害症状(PDFでダウンロードできます)

電磁波が身体に及ぼすかもしれない影響

電磁波が身体に及ぼすかも知れない影響には、刺激作用、熱作用、非熱作用 の3つがあります。

刺激作用

身体に電流が流れると、ピリピリと感じます。周波数が低い低周波電磁波の特徴で、高周波電磁波からの刺激作用は一般的にはありません。しかし高周波からの刺激作用は電磁波過敏症などに起こる症状です。携帯電話などの電磁波はパルス変調高周波電磁波で、この電磁波の影響の可能性が指摘されています。

熱作用

熱作用とは、高周波電磁波照射によって物体が温まる作用のことです。この作用を応用したものとして、電子レンジ(使用周波数帯:2.45GHz)があります。高周波電磁波を人体にあてると、熱作用によって健康被害を及ぼす可能性があります。高周波電磁波の特性は、身体にあたると反射、吸収、透過します。当然人体に当たると、高周波電磁波の一部は身体に吸収され、その一部の電磁波のエネルギーは熱となり、人体の体温を微量でも上昇させます。この温度上昇によって起きる生体作用を熱作用と言います。携帯電話を長く使用した時に耳や頭の周辺がぼーっと暖かく感じることがあるのは熱作用と推測されます。

高強度の高周波電磁波には、電子レンジと同様に熱を生じるため生体に影響を与える可能性があります。この理由から、携帯電話などの無線機器などでは、人体の電力比吸収率(SAR:Specific Absorption Rate 単位は[W/kg])を用いた規定値が施行されており、日本でも総務省が電波防護指針を設定し、携帯電話のSAR値が「2W/kg」の許容値を満たすことが義務づけられました(これは携帯電話の熱作用による健康被害を防止するため、法律で電磁波によって吸収されるエネルギーが基準を超えないように定めています)。

携帯電話使用時、高周波電磁波のホットスポット効果(ものの中心に電磁波が集中し熱を発生させるというもの)により頭部の中心部が集中的に熱せられているのではと疑念を持つ研究者も多くいます。体温が1~2℃程度上昇するだけでも、人体に大きな影響を与えるということは多くの動物実験から証明されています。特に、身体の一部で血管が少ない部分(脳、眼や内耳などの感覚器官や生殖器)は、熱拡散が難しいので特に熱の影響を受けやすく、細胞が害を受けやすいと考えられます。

非熱作用

下記の非熱作用の影響が危惧されています。

  • 遺伝子損傷による、突然変異細胞出現やガン発症
  • 循環器系への影響で血圧上昇
  • 神経系への影響で、神経系疾患、頭痛、脳腫瘍など発症、学習能力の欠損、 睡眠への影響
  • ホルモン系への影響で免疫の低下、アルツハイマー型認知症の発症、睡眠への影響、うつ病、ガン発症
  • 生殖機能への影響など

電磁波過敏症とは?

生活環境に存在する(微弱の)電磁波が原因で発生する諸症状は「電磁波過敏症」と呼ばれています。電磁波に対しての感受性が高くなりすぎ、身の回りにある微弱な電磁波被曝で頭痛や吐き気などの症状が出ます。 症状は個人により異なり、花粉症や化学物質過敏症などのアレルギー症状と類似しています。一度発症すると症状の完治は難しいのが現状です。

WHO (世界保健機構)は2005年ファクトシート296 ,“電磁界と公衆衛生:「超低周波電磁界とがん」”を発表し、「電磁波過敏症」という病気の存在を認定しています。

スウェーデンでは「電磁波過敏症」は障害と認定され、ドイツ、デンマークなどのヨーロッパ諸国では社会的に認知されつつあり、公的保険の対象として治療が進められています。

日本では認知されておらず、また、医療従事者の理解度の欠如や医療機関の対応も不十分で、電磁波過敏症患者に対する対策は皆無に等しい状態です。

電磁波過敏症発症率はヨーロッパでは人口に対して約5%と推定されています。日本においても、ヨーロッパの発症率と同じレベルと考えられます。また日本では、自律神経失調症などと診断されているケースがあります。

電磁波過敏症の症状

  • 全身に圧迫感を感じる
  • 皮膚のかゆみ、刺すような痛み
  • 目の乾き、目の痛みなどの炎症
  • 呼吸困難、動悸、不整脈
  • めまい、集中力欠如、記憶喪失
  • 不眠、倦怠感
  • 風邪のような症状
  • のど、鼻、耳などが腫れる
  • 頭痛、吐き気、しびれなど

電磁波過敏症患者の方のなかには、医療従事者や家族からの適切なサポートが受けられず、また、この様な状況に置かれた患者に必要なカウンセリングも無く、症状が更に進行し、日常生活や社会活動が困難になる方が多くいます。

「電磁波過敏症」の方に見られる特徴

  • 個人の電磁波に対する感受性に大きな差がある
  • 電磁波の種類により症状が異なることがある
  • 化学物質過敏症の方の多くが電磁波過敏症を併発する
  • 低周波音(振動などを含む)過敏症にもなる方が多い